政府系機関というのはなぜグラフ化してくれないのでしょう。
敢えて分からないようにしている気がしてなりません。
このテキストデータが2001年頃から延々と続きます。
あまりに分かりにくいので、いくつか国をピックアップしてグラフにしてみました。
下図は2001年から2013年の米国債(短期〜長期全て含む)の保有額推移です。
サブプライム問題が顕在化した2008年頃から日本・中国ともに傾きが変化しています。
イギリスは、さすが金融帝国。
政治・軍事的にはアメリカべったりのようですが、(大きなリスクをはらむ)米国債からは距離を置いているようです。
もしかしたら自国の国債消化で精一杯なのかもしれませんが…。
ちなみに、石油輸出国は以下の総和です。
エクアドル、ベネズエラ、インドネシア、バーレーン、イラン、イラク、クエート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、アルジェリア、ガボン、リビア、ナイジェリア
桁が1つ小さいのではないか、と思ってしまいます。
さて、長期的には日本・中国ともに右肩上がりに米国債保有額を増やしているように見えましたが、最近は購入のペースを落としています。
下図はここ2年間の推移です。上位6カ国・集団をピックアップしています。
中国と日本の保有額は、文字通り群を抜いています。
しかし増加のペースは両国ともに伸び悩んでいます。
2008年から2013年末まで、FRB(Federal Reserve Board)によるQE(Quantitative Easing)で米国債の価値は支えられてきました。
そのため、日本・中国も安心して米国債の買い手でいられました。
しかし、2013年12月からTaperingが始まり、米国債の価値が急落する懸念が改めて顕在化しています。
そのため、日本・中国ともに購入を手控えているのでしょう。
沈むリスクが高い船の乗船券を進んで買う人はいないと思います。
…ところがこれがいたようです。
上図の緑色の線の国、急激に保有額を伸ばしていますね。
累積保有額では分かりにくかったので、
各月の保有額の変動額(増減額)の推移でグラフを描き直してみました。
期間は2012年1月〜2013年12月で先ほどのグラフと同一です。2013年12月に、中国が急激に5兆円分も保有額を減らしたのに対して、それを補うかのようにベルギーが保有額を増やしています。
これだけを見ると「おおよそプラスマイナスゼロ」という印象ですが、ここで少し考えてみてください。
中国は世界2位のGDP、日本は枯れても世界3位。
それに対してベルギーは25位です。(名目GDP、2012年度比較)
Source:http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html
巨像・中国の落とした荷物はベルギーには相当な重荷だったのではないでしょうか。
そこで、先の変動額のグラフをさらに対GDP比で描き直してみました。
各国のGDPは下表の通りです。
GDP | 2013 | 2012 |
中国 | 893.9 | 822.1 |
日本 | 500.7 | 596 |
ベルギー | 50.7 | 48.4 |
例えば、中国は2013年12月に5兆円保有額を減らしていますが、これを対GDP比に置き換えると、
(-5兆円)÷(893.9兆円)= 0.56% となります。
これで過去2年間のグラフを描き直すと以下のようになります。
ベルギーの増加額の異常さが見てとれます。
2013年12月は実にGDPの10%を米国債の購入に充てている計算になります。
しかも、たった一ヶ月で、です。
このモノスゴさを実感するために、日本に置き換えて考えてみましょう。
日本の2013年のGDPは約500兆円。
この10%は50兆円。
一方、2013年5月成立の一般会計予算は92.6兆円。
Source:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/002.htm
(単位:億円)
50兆円といえば、一般会計予算の50%強に相当します。
ベルギーはこれをたった1ヶ月の米国債購入に充てているわけです。
日本で同じことをすれば、年間の社会保障と地方交付税交付金が、1ヶ月で吹き飛ぶ金額です。
ちなみにベルギーの国家予算額は全体で20.6兆円。「全体」というのは日本の一般会計+特別会計相当と見てよいと思われます。
ちなみに、日本の国家予算額は全体で200兆円強になります。
Source:http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-170.html
ベルギーは2013年12月に、約6兆円を米国債の買い増しに充てているので、
6兆円 ÷ 20.6兆円=29.1%
年間通しての国家予算全体額の約3割を、たった1ヶ月の、しかも他国の国債購入に充てたことになります。
何がベルギーをそうさせたのか。 今はまだ真相が見えませんが、ドル基軸通貨性を保つためにアメリカから何らかの交渉があったのだろうと思われます。
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