2014年5月14日水曜日

Update:ウクライナ新政権の実態

時間がないので、まずは速報ベースでお知らせします。

以下の記事でも少し触れたようにウクライナ新政権はナチス党の流れを組む勢力が実権を握っています。
http://kokusai-news.blogspot.jp/2014/03/blog-post.html

以下はその抜粋です。
Kievは、親ロシアのヤヌコヴィッチ大統領が政権から降りたので、当初のデモの目的は達成されたはずですが、
ドイツのナチス党の流れを組む、Right Sector、Svoboda(スヴォボダ、「自由」)といった勢力が、暴力で権力を握りつつあります。
(参考)http://matome.naver.jp/odai/2139338815267519601

その極右勢力の実態を報じる動画などがなかなか見つからなかったのですが、今回相応しいと思われる動画の情報を入手したので取急ぎ共有します。

ただ、流血シーンや死体などが出てきます。
食事の前後のご視聴はお避けください。
http://99getsmart.com/ukraine-crisis-today-democracy-caught-on-camera-this-will-never-be-shown-on-mainstream-media/

私たちは今プロパガンダ戦争の1陣営に組み込まれています。
1極は米欧を中心とする旧勢力、対するはBRICSを中心とする新勢力。
私たち日本は前者に属します。
前者のメディア勢力では今回紹介したような動画はあまりカバーされていない気がします。

私たち一人一人がより多くの情報を摂取し、誰がどのメディアが最も確からしそうな情報を発信しているかを見極められるようになっておかなければいけないと思います。
そうでなければ日本にウクライナと同じような経済危機が起こってしまった場合(ないとは思いますが)、誰を信じてよいか分からず、ナチス党のような耳に聞こえの良い政党の言うことを信じかねないからです。

今回はいつもより本気で、Facebookでのシェア・共有をお願いしたいです。
ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。

2014年4月21日月曜日

小ネタ:ビジョナリーカントリー3 〜衰退の5段階〜


Q:これってもしかして「ビジョナリーカンパニー3 衰退の5段階」の間違いじゃ??







A:少しモジってみました。

この本に書かれていた、衰退期の第四段階にある企業の特徴と、ある国があまりにピッタリ当てはまって驚いたからです。

画像はこちらから拝借しました:http://d.hatena.ne.jp/ushikubou/20120223/1329973948

そのある国とは…お察しの通りアメリカ合衆国です。
以下、綺麗にハマっていると感じた部分を、抜粋してご紹介します。

第4段階:一発逆転策の追及


<主な症状>

リストラ無理な投資で財務力低下
製造業のアウトソーシングで中産階級が没落。消費・税収の減少。
イラク・アフガニスタン・シリア・リビア(・ロシア?)戦争、軍事産業への過剰な投資
救世主を求める。
 オバマ大統領の登場。
革命や変革といった言葉が踊る。
 Change We Can Believe In(2008年大統領選挙のオバマ陣営のスローガン)
 シェールガス革命
・現実感のない、抽象的なビジョンばかりを売り込む。
Yes We Can(2008年大統領選挙のオバマ陣営のスローガン)
6年前の当時は大変感動的だったオバマ大統領の指名受諾演説を掲載します。
冒頭あたりだけで結構です。是非ご覧ください。



いかがでしょうか。まさに救世主の登場!という感じですね。



さて、時は移って2014年3月25日。この記事の投稿時点ではつい1ヶ月前ですね。


同じオバマ大統領が、オランダのハーグでの核セキュリティサミット後に記者会見を行いました。
オバマ大統領の締めくくりの言葉は以下の通りです。
「私たちにとって必要なことは、本日お知らせしたような取り組み、つまり、権力の抑制と均衡を図り、法的手続きの推進といったものを、ゆっくりと、システマチックに進めるということです。喜ばしいことに、目標は無事達成できそうだと大いに自信を持っています。また、プライバシーや国際法、個人の権利などに関して、アメリカがこれまでに常に信じ、何年もの間アメリカを導いてきた最も大切な価値観が、今後も私たちを導いてくれると確信しています。
感動的な言葉ですね。きっと、記者団も拍手喝采のことでしょう。
では、そのときの様子をご覧ください。








Q:あれ?おかしいな…殆ど誰も拍手してなくない??










A:

そうなのです。かろうじて一人分の拍手が聞こえてくる程度でしょうか。先ほどの2008年の動画とは大違いですね。

実はこの記者会見、かのオバマ大統領に対して殆ど拍手しなかったことで話題になりました。
一体、オバマ大統領はこの記者会見全体を通じて何を述べたのでしょうか?


それはまた別の投稿でご紹介します。






<おまけ>
少し不気味なのは最後の段階。

第5段階:屈服と凡庸な企業(国家)への転落か消滅


主な症状:基本理念・ビジョンを諦める。自らの価値観を捨ててしまう。

アメリカの基本理念といえば、自由・正義・平和ですが…。
これらが捨てられないことを望むばかりです。







今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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2014年4月20日日曜日

仮説:ウクライナ危機は、ロシアのアメリカ覇権からの離脱を促進させる?

Q:「覇権」って何?

A:「覇権」とは、

  • 意味:国家間において、主位に立つ国家が従位の国家を、直接的な軍事力は用いず、むしろ隠然とした権力の行使によって統制する、間接的な統治形態
    Source:http://en.wikipedia.org/wiki/Hegemony
  • 英語:hegemony(イギリス読み:ヘゲモニー、アメリカ読み:ヘジェモニー)
と定義されています。

この定義に従いますと、

「アメリカ覇権」とは、

主位に立つアメリカが、従位の国家であるイギリス、日本、ドイツ・フランスなど欧州各国、BRICS等の国家を、直接的な軍事力は用いず、むしろ隠然とした権力の行使によって統制する間接的な統治形態

となります。
冷戦後の世界は強弱の差はあれど、世界全体がアメリカ覇権の影響下に置かれてきたといえます。

Q:「権力」って何?

A:「権力」とは、

人々の振る舞いに影響を与えたり、統制したりできる能力

のことです。Source:http://en.wikipedia.org/wiki/Power_(philosophy)

この定義に従いますと、

アメリカが従位の国々に対して用いる「隠然とした、人々の振る舞いに影響を与えたり、統制したりできる能力」

となります。

Q:「権力」の種類にはどんなものがあるの?

A:

以下の要素などから成り立つと考えられます。
  1. カネ:国家財政への干渉
  2. カネ:通貨価値操作
  3. カネ・モノ:商品市場操作
  4. カネ・モノ:貿易への干渉
  5. ヒト・情報:情報操作(マスメディア)
  6. ヒト・情報:情報傍受(盗聴など)

Q:「権力」はどんな風に使われるの?

A:

以下に具体例を挙げます。
  1. カネ:国家財政への干渉
    IMFはウクライナへの財政援助を行う条件として、財政健全化のため年金支給額を半分にするよう要求案を提出。
  2. カネ:通貨価値操作
    インド・ルピーの通貨価値を押し下げ、輸入物価を上昇させ、経済を困窮させる。
  3. カネ・モノ:商品市場操作
    備蓄石油の市場放出により価格を下げ、石油輸出に依存するロシアに圧力を加える。
  4. カネ・モノ:貿易への干渉
    WTOの枠組みから中国を排除し、経済成長を阻害する。
  5. ヒト・情報:情報操作(マスメディア)
    ウクライナ危機でロシアを悪者に仕立てる。
  6. ヒト・情報:情報傍受(盗聴など)
    ドイツ・メルケル首相の通話内容を傍受し、外交を有利に進める。
などがあります。

覇権の主位に立つアメリカは、政治・経済面で成長し、力をつけてくる従位の国々に対し、これらの権力を様々な形で行使することで、彼らの成長を阻害し、自らの覇権(間接的な統治形態)を維持してきたのです。


そして、これまでそういったことができた背景の根幹には、ドルが基軸通貨性を有していたことがあります。


それは、「カネ」(=ドル)をつかった1.〜4.に挙げたような権力の行使は、従位の国がドルの影響下にあって初めて効力を持つからです。


Q:ウクライナ危機とアメリカ覇権との関係は?

A:

先のクリミア併合についてまとめた投稿で述べた通り、アメリカやイギリス、ドイツなどの欧州主要国(米欧諸国)は、ロシアに対して経済制裁を行っています。

現時点(4月19日)におけるアメリカのロシアに対する経済制裁の内容は以下の2点です。
  • 20人のロシア高官たちに対する、アメリカへの渡航禁止とアメリカ国内の資産凍結措置
  • ロシア銀行(Russiya Bank)が行う決済の拒否
ロシアがさらにウクライナ東部や周辺地域の併合を試みるようであれば、アメリカと欧州理事会は、ロシアのエネルギー資源や兵器の売買・輸出入に追加で制裁を加えることを検討しています。Source:http://www.washingtonpost.com/world/national-security/transcript-obamas-remarks-on-russia-nsa-at-the-hague-on-march-25/2014/03/25/412950ca-b445-11e3-8cb6-284052554d74_story.html


一見すると、今回のウクライナ危機もアメリカ覇権における、ロシアに対する経済制裁という形での権力行使のように見えます。
確かに、ロシアがこの状況を乗り越えられなかった場合には、冷戦状態の復活、あるいは戦争の勃発などにより、ロシアの成長は著しく阻害もしくは減退することでしょう。

しかし、もしロシアがこの状況を乗り越えられた場合はどうなるでしょうか。


ロシアが経済制裁に対抗する努力をする結果、ロシアとロシアに協力的な国々はアメリカ覇権(アメリカによる間接的な統治形態)から離脱していく可能性があります。


ここに、ウクライナ危機とロシアのアメリカ覇権からの離脱との関係性を見出しています。

Q:ロシアは経済制裁に対してどういう行動を取っているの?

A:
米欧主導の枠組みの外に出て、自国の経済活動が影響を受けないよう、自国中心もしくは中国やイランなどを巻き込んだ枠組みを作ろうとしています。
この一連のロシアの動きが本投稿の仮説の基礎となっています。


Q:ロシアが作ろうとしている枠組みにはどんなものがあるの?

A:

ウクライナ危機に関するものとして、以下3つの枠組みが考えられます。
  1. エネルギー資源貿易の枠組み
  2. クレジットカードの枠組み
  3. マスメディアの枠組み
傍流で関係してくるものとして、以下1つの枠組みが考えられます。
  1. インターネットを中心とする通信の枠組み
それぞれについて簡単に見ていきましょう。

<エネルギー資源貿易の枠組みについて>

ロシアは米欧諸国に対抗するため、中国・イランと協調的な関係をこれまでに築いてきています。Source:http://www.huffingtonpost.com/majid-rafizadeh/ukraine-crisis-bolstering_b_5045450.html
特に中国は、ロシアの輸出相手国第二位であり、ロシアは中国に石油・天然ガスを輸出しています。


ロシア国営企業のGazpromは、2018年から38億立方メートルの天然ガスを、中国とロシアをつなぐ初めてのパイプラインを通じて送りたいと考えています。
この契約は「(2014年5月に)プーチン大統領が中国を訪問したときに、(契約締結に向けた)交渉が進められると予想するのが論理的に考えて自然である」、とGazprom関係者が述べています。

Source:http://www.reuters.com/article/2014/03/21/us-ukraine-crisis-russia-insight-idUSBREA2K07S20140321
以下、上述の内容に関連する部分を引用しておきます。
State-owned Russian gas firm Gazprom hopes to pump 38 billion cubic meters (bcm) of natural gas per year to China from 2018 via the first pipeline between the world's largest producer of conventional gas to the largest consumer.

"May is in our plans," a Gazprom spokesman said, when asked about the timing of an agreement.
A company source said: "It would be logical to expect the deal during Putin's visit to China."
(引用終わり)

*注:この写真は2013年3月に中国の習近平国家主席がロシアを訪問したときの写真で
今回の件とは直接関係ありません。イメージ写真として掲載しました。

当然そこではドルを使った決済は行われず、ロシア・ルーブルもしくは中国人民元を利用した決済が行われる可能性があります。


これは、ただでさえ弱りつつある、アメリカ覇権の根幹にあるドルの基軸通貨性を"さらに"弱めることにつながります。


ロシアは、エネルギー貿易に関する追加の制裁が行われるかもしれないことを口実に、堂々とこういった活動を進めることができます。


つまり、今回のウクライナ危機から発生した経済制裁は、ロシアがアメリカ覇権から離脱するための口実を与えている、とも捉えられるのです。


<クレジットカードの枠組みについて>

経済制裁の1つである「ロシア銀行に対する制裁」が、ロシア市民の経済活動に与えている重要な影響として、

ロシア銀行を経由するVISA、Mastecardの決済が行えない

ということがあります。Source:http://www.forbes.com/sites/kenrapoza/2014/03/21/russian-banks-feeling-pain-of-u-s-sanctions/

現在、ロシアのクレジットカード市場でVISAとMastercardのシェアは90%前後であるため、市民の日常生活への影響は大きいと思われます。

ロシアはこれに対抗する措置として、RussiaCardの導入を検討しています。
これは、日本のJCB、中国の銀聯カード(UnionPay bank Card)に類するものです。
Source:http://www.csmonitor.com/World/Europe/2014/0328/A-new-Russian-bank-card-Priceless-for-the-Kremlin

これもアメリカ覇権からの離脱を図る動きの1つと捉えることができます。

<マスメディアの枠組みについて>

先のクリミア併合についてまとめた投稿の編集後記でも述べましたが、ウクライナ危機は「プロパガンダ戦争」の様相を呈しています。
「プロパガンダ」とは「特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った、宣伝行為」のことです。

米欧諸国のメディアは徹底して、ロシアのウクライナ併合を認めない論調を展開しています。
プーチン大統領をヒトラーに例えるような論調も見られます。

対して、ロシア側の視点で情報を発信していたのがRussia Today(RT)でした。

英語での発信がなされているため、本ブログでの一連の投稿においても、米欧諸国の視点だけに偏ることなく、両者の主張を取り入れながら書き進めることができました。

一方的に悪者にされ、自国を戦場とされてしまったイラク、アフガニスタン、シリア、リビアといった国と比べて、ロシアの情報発信力は一線を画しているといえるでしょう。

以上見てきた3つの取り組みによって、ロシアは先に挙げたアメリカ覇権の権力のうち、以下3つの手段からの影響を減少させることができます。

   2. カネ:通貨価値操作
   4. カネ・モノ:貿易への干渉
   5. ヒト・情報:情報操作(マスメディア)


<インターネットを中心とする通信の枠組みについて>

ロシアはアメリカのNSA(*)問題について暴露したEdward Snowden氏を亡命者としてかくまっています。
(*:National Security Agency、アメリカ国家安全保障局。ドイツのメルケル首相を筆頭とする世界要人を含め、世界中で交わされる電話の交信記録を傍受していることが発覚し問題に。)
この点については、別の観点で書くべきことがあるので、"WhistleBlowers〜内部告発者たち〜"といったようなタイトルで別途投稿したいと考えています。

Q:アメリカはなんで自国の覇権を弱めかねない制裁を行っているの?

A:

今回の仮説が間違っていなかった場合、確かにアメリカは自滅につながるような動きを押し進めていることになります。

この一連の活動の推進者が何を考えているのか、正直分かりません。
ただ、アメリカの政策決定を行う中枢にいる人達は、本当に賢く、唸らせるほどの戦略を毎回練ってくるので、当然そこには何か深い狙いがあると考えるべきです。

私は楽観主義者なので、以下のような希望的な推測も可能ではないかと考えています。
  • アメリカに軍事力が極度に集中してしまったことで、戦争・内戦に抑止力が働きにくくなってしまった。(直近の例ではイラク・アフガニスタン・シリア・リビアなど)
  • そのことを反省し、アメリカの軍事力を徐々に削ぎつつ、ロシアや中国などを経済・政治・軍事的に成長させて戦争の抑止力とする。
  • こういった構想の推進者であるから、オバマ大統領はまだ何もしていない段階でノーベル平和賞をもらえた??
最後は少し突拍子もない憶測になってしまいましたが、ウクライナ危機が平和な世界を実現するための取り組みの1つであって欲しいと心から願っています。


最後までお読みいただきありがとうございます!!
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2014年3月30日日曜日

2014年3月18日(火)クリミアのロシア復帰に関するプーチン大統領の演説(全文)

ロシア議会上下院、地方首長、市民団体の代表に向け、プーチン大統領が演説を行いました。



在日ロシア連邦大使館より和訳の提供がありましたので、全文掲載します。
かなり長文で全文を読んでいただくのは大変かと思い、注目していただきたい箇所を強調表示しました。

この演説の中では、当ブログの先のクリミアに関する投稿にも書いた「NATOの狙い」、「西側諸国の企み」についても触れられています。
引用文の後に、調印式の様子も掲載しています。高揚感のある様子を確認できます。


なお、ロシア側の観点からの投稿が続きましたので、次は公平性の観点から、3月25日(火)にオバマ大統領がハーグの核安全保障会議で述べたスピーチも別投稿で掲載したいと思います。


それでは、毎回超長文の記事で恐縮ですが、飛ばし読みでも結構ですので、お付き合いいただければと思います。

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2014年3月18日、クレムリン

こんにちは、尊敬する上院議員、尊敬する下院議員!尊敬するクリミア共和国とセバストポリ市の代表者たち!ロシア国民!彼らは、クリミアとセバストポリ市の住民は、ここに、私たちの間にいます!

尊敬する友人たち、今日私たちは、私たち全員にとって極めて重要な意味を持ち、歴史的意味を持つ問題でここに集まりました。

3月16日、クリミアで住民投票が行われました。住民投票は民主的手続きと国際法の規定に完全に合致したものでした。

有権者の82%以上が投票に行きました。96%以上がロシアへの復帰に賛成票を投じました。この数字は極めて説得力のあるものです。


どうしてこのような選択がなされたのかは、クリミアの歴史を知れば、またクリミアにとってロシアがどのような意味を持ち、ロシアにとってクリミアがどのような意味を持つのか知れば理解できます。

クリミアでは文字通りすべてに私たちの共通の歴史、共通の誇りが息づいています。ここには聖ウラジーミル公が洗礼を受けた古代のケルソネス市があります。彼の宗教的偉業―正教の受け入れ―はロシア、ウクライナ、ベラルーシをひとつに結びつける共通の文化、価値観、文明の基盤となりました。クリミアにはロシア兵士の墓地があります。1783年、その兵士の勇敢な戦いにより、クリミアはロシア帝国の傘下に入りました。クリミアといえばセバストポリ市です。伝説の都市、偉大なる運命の都市、要塞都市であり、ロシア黒海艦隊の故郷です。

クリミアといえばバラクラヴァ市とケルチ市であり、マラコフ・クルガンの高地とサプン・ゴラの高地です。このひとつひとつの場所が私たちにとっては神聖であり、ロシアの軍事的栄誉の象徴であり、大いなる武勲の象徴です。

クリミアは様々な民族の文化と伝統のユニークなるつぼでもあります。その意味でクリミアはロシア本土とよく似ています。ロシア本土もまた、数世紀の間、ひとつとして民族が消失したり溶解したりしたことはありません。ロシア人もウクライナ人も、クリミア・タタール人もその他の民族も、皆が自分たちの慣習や伝統、言語や宗教を守りながらクリミアの地で仲良く暮らし、働いてきました。

ちなみに、現在220万人いるクリミアの人口のうち、ほぼ150万人がロシア人であり、35万人が主にロシア語を母語だと考えるウクライナ人です。29万から30万人がクリミア・タタール人であり、その大部分が、住民投票から分かる通り、ロシアを志向しています。

確かに、クリミア・タタール人が、ソビエト連邦のある他の民族と同様に、残酷な不平にさらされた時期もありました。ひとつ言っておきます。当時、様々な民族の数百万人が弾圧を受けましたが、その筆頭は当然ロシア人でした。クリミア・タタール人は故郷の地に戻ったのです。クリミア・タタール民族の更生プロセスを完遂させるのに必要なすべての政治的・法的決定がなされるべきであり、彼らの権利と名誉を完全に回復させる決定がなされるべきだと思います。

私たちはクリミアに住むすべての民族に敬意を抱いています。クリミアは彼らの共通の家であり、故郷です。ですから、これはクリミアの住民も支持していますが、クリミアにロシア語、ウクライナ語、クリミア・タタール語の3言語が国語として同等に存在することが正しいのです。

尊敬する同僚たち!

人々の心の中、意識の中では、クリミアは常にロシアの不可分の一部でした。真実と正義に基づいたこの確信はゆるぎないものであり、世代から世代へと受け継がれてきたものです。この確信の前には時間も情勢も無力であり、私たちが体験してきた、20世紀を通して私たちの国が体験してきた劇的な変革でさえもすべてが無力です。

革命後、ボリシェビキはさまざまな理由から、歴史的にロシア南部であった領土の大部分をソビエト連邦ウクライナ共和国に編入しました。

ボリシェビキは神の裁きを受けることでしょう。この決定は住民の民族構成を考慮せずになされたものであり、それが現在のウクライナ南東部です。

そして1954年、さらにクリミア州もウクライナ共和国に引き渡すという決定がなされました。同時に、当時は連邦直轄都市だったはずのセバストポリ市も引き渡されました。これを発意したのはソビエト連邦共産党のトップであったフルシチョフ本人です。

何が彼を突き動かしたのか―ウクライナ特権階級の支持を得たかったのか、はたまた30年代のウクライナでの大弾圧の罪を償いたかったのか―それは歴史学者が調べることでしょう。

私たちにとって重要なのは別の視点です。この決定は当時の憲法の規定にさえ明らかに違反していました。非公式に内輪で勝手に決めたことなのです。全体主義国家では、クリミアやセバストポリ市の住民が意見を尋ねられることは当然ありませんでした。ただ事実を突き付けられたのです。当時でも、人々は当然ながら、どうして突然クリミアがウクライナに編入されたのかと疑問を持ちました。しかし正直なところ、―皆知っていることですから、率直に言いましょう―、正直なところ、この決定は単なる形式的なものだと捉えられていました。なにしろ、領土はひとつの大きな国の枠内で引き渡されたのです。当時は、ウクライナとロシアが一緒でなくなり、別々の国家になることなど想像することもできませんでした。しかし、そうなったのです。

信じられないと思われたことが、残念ながら現実のものとなりました。ソビエト連邦は崩壊したのです。事態の進展はあまりにも急激で、当時起こっていた出来事やそれがもたらす結果の重大性を完全に把握している国民はほとんどいませんでした。ロシアでもウクライナでも、さらに他の共和国でも、人々の多くはそのときにできあがった独立国家共同体(CIS)が新たな国家の枠組みになるものと期待していました。何しろ共通の通貨を持ち、ひとつの経済圏を形作り、共通の軍隊を持つと約束されていたのです。しかし、それは単なる約束に終わり、大国は消失しました。そして、クリミアが突然として外国のものになってしまったとき、その時になってロシアはただ盗みにあったのではなく、強奪されたのだと実感したのです。

しかし、ロシア自身も「主権のオンパレード」を始動させたことでソ連崩壊を促進しましたし、ソ連崩壊の手続きではクリミアのこと、黒海艦隊の主要基地であるセバストポリ市のことを忘れてしまっていた事実は率直に認めなくてはなりません。何百万人ものロシア人がひとつの国で眠りにつき、目を覚ますと外国にいたのです。彼らは一瞬にして旧ソ連共和国で民族的少数派になってしまったのです。

ロシア人は世界最大のひとつ、世界最大と言ってもいいくらいの分断された民族となったのです。

現在、それから長い年月が過ぎ、つい最近になってクリミアの人々が、1991年のあのとき、自分たちは袋に入ったジャガイモのようにあちらからこちらへと引き渡されたのだと話しているのを聞きました。これには同意せざるを得ません。あのとき、ロシアはいったいどうしたのでしょう?ロシアは?うなだれて、受け入れ、この屈辱をぐっと堪えたのです。私たちの国はひどい苦境にあり、自国の利益を守ることさえできない状態でした。しかし、人々はこのひどい歴史的不正を受け入れることはできませんでした。この間、国民も多くの社会活動家も何度となくこの問題を提起し、クリミアはロシア固有の土地であり、セバストポリ市はロシアの都市だと言ってきました。それはよく分かっていましたし、心で感じていることでした。しかし現実に立脚して、新たな基盤のもとに独立ウクライナとの善隣関係を築かなければなりませんでした。ウクライナとの関係、兄弟であるウクライナ国民との関係は、一切の誇張を抜きにして、これまでも、そしてこれからも私たちにとって最も大切で重要なものです。

今日となっては率直に話すことができます。皆さんと2000年代初頭に行われた交渉の詳細を共有したいと思います。当時、ウクライナのクチマ大統領からロシア・ウクライナ国境画定のプロセスを加速させるよう私に要請がありました。当時までこのプロセスはほとんど進んでいませんでした。ロシアはクリミアをウクライナの一部と認めたようであり、それでいて国境画定交渉は行われていませんでした。このプロセスが困難であることは分かっていましたが、私はすぐにロシア側の省庁に作業を活発化するよう指示しました。国境画定に合意することで、私たちが実質的にも法的にもクリミアをウクライナ領として認めようとし、それによりこの問題に終止符を打とうとしていることが誰にでも分かるようにするための国境画定作業です。

私たちはクリミアの問題だけではなく、アゾフ海海域とケルチ海峡の国境線画定といった極めて難しい問題でもウクライナに譲歩しました。どうしてでしょうか?ウクライナとの良好な関係が私たちにとっては最も重要なものであり、それが行き詰った領土問題の人質になっていてはいけないという思いからです。しかしこのとき、ウクライナが今後も当然私たちのよき友人であり続けると考えていましたし、特にウクライナ南東部とクリミアに住むロシア人やロシア語を話すウクライナ国民が友好的で民主的な文明国家に暮らし、彼らの法的利益が国際法の規定に従って保障されるものと考えていました。

しかし、状況は別の方向に進み始めました。ロシア人から歴史的記憶を奪おうとする試みが次々と行われ、時には母語を奪おうとすることも試みもありました。ロシア人に同化を強制しようとしたこともありました。また当然のことながら、ロシア人は、ほかのウクライナ国民と同様に、20年以上にわたってウクライナを揺るがし続けている恒常的な政治的・国家的危機に苦しめられてきました。

どうしてウクライナの人々が変革を望んだのか、よく理解できます。「独立」し、自立してからのこの年月、いわば人々は政権に「うんざり」したのであり、あきあきしたのです。大統領、首相、議会の議員は変わっても、彼らの自国と自国民に対する考え方は変わりませんでした。彼らは権限や資産、資金の流れを巡ってお互いに争いながら、ウクライナを「搾り取って」いったのです。

政権等は一般市民が何をもってどんな暮らしをしているのか、どうして数百万人のウクライナ国民が自国では自分の将来に展望を見いだせず、日雇い労働のために外国へ出て行かなくてはならないのかにはほとんど興味がありませんでした。指摘しておきますが、シリコンバレーへの就職ではなく、日雇いの出稼ぎです。

昨年のロシアだけでも、そういった人々(引用者註:ロシアに日雇い労働に出かける人々)が300万人も働いていました。2013年に彼らがロシアで稼いだ金額は200億ドル以上であるという試算もあり、これはウクライナのGDPの12%にあたります。


繰り返しますが、汚職や非効率な国家運営や貧困に反対し、平和的なスローガンを掲げてマイダン広場に集まった人たちのことは良く理解できます。平和的なデモ活動の権利、民主的手続き、選挙は人々が納得いかない政権を変えるためにこそ存在しています。しかし、ウクライナでの最近の出来事を裏で操っていた人々は別の目的を追求していました。彼らは何に対しても決してひるむことなく、また新たなクーデターを準備し、政権奪取を企てていました。テロも殺人も略奪も活用されました。クーデターの主要な実行者となったのはナショナリスト、ネオナチ、ロシア恐怖症の人々と反ユダヤ主義者たちです。まさにその彼らが今日に至るもまだ、様々な意味でウクライナでの生活を決定づけているのです。


いわゆる新「政権」が最初に行ったことは、言語政策の見直しに関する恥ずべき法案の提出であり、この法案は民族的少数派の権利を真っ向から侵害するものでした。ただし、今日「政治家」となった人々の海外スポンサーであり、「政権」の後見人である人々はすぐにこの企ての発案者をたしなめました。彼らは賢い人間であり、そこは評価しなくてはなりません。民族的に純粋なウクライナ国家を建設しようとする試みが何をもたらすのかを彼らはよく理解しています。法案は延期され、脇へ退かされましたが、明らかに万一の時に備えて残してあるのです。法案が存在する事実を今は押し黙っていますが、おそらく人間の記憶が短いことをあてにしているのでしょう。しかし、第二次世界大戦時のヒトラーの協力者であるバンデーラの思想継承者たちがウクライナで今後いったい何をしようとしているのかは、今や誰が見ても明白です。

また、ウクライナには正統な政権がいまだになく、話をする相手がいないこともまた明白です。国家機関の多くは身元詐称者が占拠しており、彼らは国を全くコントロールしておらず、むしろ彼ら自身が、―これは強調しておきたいのですが―、彼ら自身が往々にして過激派の支配下に置かれているのです。

現政権の大臣の中には、マイダン広場の武装勢力の許可を得なければ面会さえできない大臣もいるのです。冗談ではなく、これが今日の現実なのです。

クーデターに抵抗した者にはすぐに弾圧と懲罰をちらつかせた脅しが始まりました。その先頭にいたのは当然クリミアです。ロシア語圏のクリミアです。そのため、クリミアとセバストポリ市の住民はロシアに対し権利と生命の保護を求めました。

またキエフで、そしてドネツク市やハリコフ市やその他のウクライナの町で起こっていることを波及させないよう求めたのです。

当然、

私たちはこの要請を拒否することはできませんでした。

クリミアとその住民を見捨てることはできませんでした。そんなことをすれば、ただの裏切りです。

まず最初に、平和で自由な意思表示ができる環境を整備し、クリミアの住民が史上初めて自らの運命を自分で決定できるよう支援する必要がありました。しかし、今日、私たちは西欧や北米の同僚からいったい何と言われているでしょう?私たちは国際法の規定に違反していると言われているのです。第一に、彼らが国際法の存在を思い出しただけまだましです。思い出さないよりは遅くなってしまってもいいのですから、それだけでも御の字です。

第二に、これが最も重要ですが、私たちがいったい何に違反しているというのでしょうか?確かに、ロシア連邦大統領は軍をウクライナで使用する権利を議会上院から取り付けました。しかし、厳正に言えば、その権利はまだ行使されてもいないのです。ロシア軍はクリミアに進軍してはいません。彼らは国際条約に基づき、元々そこにいたのです。確かに、私たちは兵力を強化しました。しかし、―ここは強調したいところで、皆さんに良く聞いてもらいたいのですが―、私たちはクリミア駐留軍の兵力定数を超えて増強したりはしていません。定数は2万5000人ですが、今までそこまでの必要がなかっただけのことです。

さらに言いましょう。クリミア最高議会は独立を宣言し住民投票を発表するにあたり、民族自決権を謳った国連憲章を根拠としました。思い出していただきたいのですが、当のウクライナもソビエト連邦脱退を宣言するにあたり、同じこと、ほぼ文字通りに同じことをしたのです。ウクライナではこの権利を行使したのに、クリミアには拒否しています。なぜでしょうか?

また、クリミア政府は有名なコソボの先例にも立脚しました。その先例は西側のパートナーたちが自ら、いわば自らの手で作り出したものであり、クリミアと全く同じ状況で、セルビアからのコソボ分離を合法と認め、一方的な独立宣言には中央政府の許可は一切必要ないことを皆に知らしめたのです。国際司法裁判所は国連憲章第1条第2項に基づきこれに同意し、2010年7月22日付の決定に次のように記しました。「安全保障理事会の慣例からは一方的独立宣言に対するいかなる一般的禁止も推論されない。」そして、さらに「一般国際法は独立宣言について適用可能な禁止事項を含まない。」すべてきわめて明瞭です。


私は引用が好きではありませんが、しかし仕方ありません。もう一つ公式文書の抜粋を挙げましょう。

今度は、2009年4月17日付のアメリカ合衆国の覚書で、コソボ審理に関連して当の国際司法裁判所に提出されたものです。再び引用します。「独立宣言は、往々にしてそうであるように、国内法に違反することがある。しかし、それは国際法違反が起こっていることを意味するものではない。」引用おわり。自らこのように書き、世界中に吹聴し、皆に「同意させて」おきながら、今度は憤慨しています。何に腹を立てているのでしょう。クリミア住民の行動はこの「マニュアル」とでも言うべきものにぴったり一致しています。なぜコソボのアルバニア人に許されたことが(私たちはアルバニア人には敬意を抱いています)、クリミアのロシア人やウクライナ人やクリミア・タタール人には禁止されるのでしょうか?再び同じ疑問です。なぜでしょうか?

当のアメリカやヨーロッパはまたしてもコソボは特殊なケースなのだというようなことを言っています。私たちの同僚はいったい何が特殊だと考えているのでしょうか?それが、コソボ紛争で多くの人的被害が出たことが特殊だというのです。これが法的な論拠だとでもいうのでしょうか?国際司法裁判所の決定にはそんなことは何も書かれていません。これはもうダブルスタンダードでさえありません。驚くほどに稚拙で無遠慮な皮肉か何かです。このように乱暴に何もかもを自分の利益に合うように整え、同じひとつのものを今日は白と呼び、明日は黒と呼ぶようなことはあってなりません。つまるところ、すべての紛争は人的被害が出るところまで持って行かなくてはならないということでしょうか?


率直に言いましょう。もしもクリミア自衛軍が時宜を得て状況をコントロールしていなければ、犠牲者が出てもおかしくはありませんでした。幸いなことに、そうはなりませんでした!クリミアでは武力衝突は一度も起こらず、人的被害もありませんでした。なぜだと思いますか?答えは簡単です。なぜなら、国民とその意思に反して戦うことは難しく、むしろ事実上不可能だからです。これについては、私はウクライナ兵に感謝したいと思っています。兵員数はかなりの数で、完全武装兵が2万2000人です。流血の惨事を避け、自らを血で汚さなかったウクライナ兵に感謝したいと思います。
これについては、当然、別の考えも浮かびます。ロシアのクリミア介入だとか、侵略だとか言われていますが、これを聞くと奇妙な感じがします。歴史を見ても、ただの一発も発砲せず、一人の犠牲者も出さずに行われた軍事介入など、私は思い出すことができません。

尊敬する同僚たち!

ウクライナを巡る情勢には、現在世界で起こっていること、さらにはこの数十年にわたって世界で起こってきたことが鏡のように映し出されています。二極体制の消失後、世界から安定が消えました。主要な国際機関は強化されるどころか、残念ながら往々にして退化しています。アメリカ合衆国を筆頭とする西側のパートナーたちは政治の実践において国際法ではなく、力による支配に従うことを好んでいます。彼らは自分が選ばれし特別な存在であると信じ切っており、世界の運命を決めるのは自分であり、常に自分だけが正しいのだと信じ切っています。彼らは思いつくままに行動しています。あちこちで主権国家に対して武力を行使し、「ついてこない者は敵である」の原則に従って同盟を築いているのです。侵略を合法的に見せるため、国際機関から必要な決議を「引き出し」、何らかの理由でそれがうまくいかない場合は、国連安全保障理事会も国連そのものをも全く無視するのです。


ユーゴスラビアの時がそうでした。私たちは1999年のそのときのことをよく覚えています。信じがたいことでした。自分の目が信じられませんでした。20世紀末、ヨーロッパの首都のひとつ、ベオグラードの町が数週間にわたってミサイル攻撃にさらされ、その後、本格的な軍事介入が行われたのです。はたしてそのような行動を許可する国連安保理決議があったでしょうか?そんなものはありませんでした。その後、アフガニスタンがあり、イラクがあり、リビアに関する国連安保理決議のあからさまな違反がありました。飛行禁止区域を守るのではなく、またしても空爆が始まったのです。
また、操作された一連の「カラー」革命もありました。この出来事が発生した国々では、人々が圧政や貧困、展望の見えない状態に疲れ切っていたことはよく分かります。しかし、その感情は皮肉にも利用されたのです。これら国々は民族の生活様式にも伝統にも文化にも全く合わない基準を押しつけられました。その結果、民主主義と自由のかわりに生まれたのは混沌、暴力の爆発、度重なるクーデターです。「アラブの春」は「アラブの冬」に取って代わられたのです。

同じようなシナリオがウクライナでも展開されました。2004年、大統領選挙で自分たちに必要な候補者を通すために、法律に規定されていない第3回決選投票なるものが行われました。これは全くばかげたことであり、憲法を愚弄したものです。そして今回は、事前に訓練され、周到に装備した武装勢力の軍隊を投入してきたのです。


私たちは何が起こっているのか、よく分かっています。

この行動がウクライナに矛先を向け、ロシアにも向けていること、ユーラシア圏の統合に向けているものであることは分かっています。そして、これはロシアが誠実に西側の同僚たちとの対話を目指していたのに起こったのです。主要な問題において、私たちは常に協力を提案しています。信頼関係のレベルを向上させたいのです。私たちの関係が対等で、オープンで、誠実なものであってほしいのです。しかし、相手側からの歩み寄りはありませんでした。


それどころか、私たちを次々と騙し、私たちのいないところで決定を下し、私たちには既成事実を突きつけたのです。

NATOの東方拡大のとき、ロシアの国境付近に軍事インフラを配備したときもそうでした。私たちに対してはいつも同じことを繰り返していました。「あなた方には関係しませんよ」と。関係しないなんて、簡単に言ってくれたものです!

ミサイル防衛システム展開の時もそうでした。私たちの懸念を無視して、機械は進み、動いています。

査証交渉の終わりの見えない長期化もそうですし、公平な競争とグローバル市場への自由なアクセスについての約束もそうです。

今、私たちは制裁に脅かされていますが、そうでなくとも私たちは多くの制約の下に暮らしています。私たちにとって、ロシア経済にとって、私たちの国にとってはきわめて重大な制約です。たとえば、「冷戦」期にアメリカが、それに続いて他の国々も、いわゆるココムリストを作成し、多くの技術や設備について、ソ連への販売を禁止しました。現在、このリストは形式的には廃止されていますが、それはあくまで形式的なものであり、実際には多くの禁止事項がいまだに機能し続けています。

一言で言えば、18世紀、19世紀、20世紀を通してロシアに対して実施された悪名高き抑止政策は今日もまだ続いていると考えるのが妥当です。私たちが独立した立場をとり、その立場を守ろうとし、偽善者ぶらずに物事を言うので、私たちを常にどこかの片隅に追いやろうとしているのです。しかし何事にも限度があります。ウクライナの場合、西側のパートナーたちは一線を越え、乱暴で、無責任で、そしてプロ意識にかける振る舞いをしました。

ウクライナにもクリミアにも数百万人のロシア人が住んでいることを彼らはよく知っていました。いったいどれほどの政治的感覚と節度を失えば、自分の行動の結果が見えなくなるのでしょう!ロシアはもう後に引くことのできない限界に立たされたのです。

バネを限界まで押さえつければ、いずれは跳ね返ります。それを肝に銘じておく必要があります。

今日必要なことは、ヒステリーを止め、「冷戦」期の修辞から離れ、明白な事実を認めることです。ロシアは国際社会における独立した積極的な参加者なのであり、ロシアにも他の国と同様に国益があり、それは考慮され、尊重されなければなりません。

私たちはクリミアでの私たちの行動に理解を示してくれたすべての人に感謝しています。

中国の国民に感謝しています。中国指導部はウクライナとクリミアの情勢をその歴史的、政治的全体像を考慮しています。インドの自制した、客観的態度を高く評価しています。


今日、私はアメリカ合衆国の国民に言いたいと思います。彼らは建国以来、独立宣言を採択して以来、自由至上主義を誇りとしてきました。自分の運命を自由に選択したいというクリミア住民の欲求は同様な価値のあるものではないのですか?私たちを理解してください。

ヨーロッパ人、とりわけドイツ人も私を理解してくれると信じています。東西ドイツ統一に関する政治協議が、控えめに言って専門家レベルで、しかし極めて高いレベルで行われていた時、ドイツの同盟国である国、そして当時同盟国であった国のうち、統一という考えそのものを支持した国は多くはありませんでした。しかし私たちの国はそれとは逆に、ドイツ人の誠実で押さえることのできない民族統一の欲求をはっきりと支持したのです。そのことをあなたたちは忘れていないと確信しています。そしてドイツ国民もまた、ロシア世界の、歴史的ロシアの統一を復活させたいという欲求を支持してくれると期待しています。


ウクライナ国民に言います。あなたたちが私たちを理解してくれることを心から望んでいます。

私たちはあなたたちに害を及ぼそうとか、国民感情を侮辱しようなどとは決して思っていません。私たちは常に大国ウクライナの領土の一体性を尊重してきました。自分たちの政治的野心のためにウクライナの一体性を犠牲にした人々とは違います。彼らは偉大なるウクライナを謳ったスローガンを掲げて着飾っていますが、国を分断するためにすべてを行ったのは彼らなのです。今日の内紛はすべて彼らの責任です。親愛なる友人たち、あなたたちに私の話を聞いてほしいのです。ロシアを使ってあなたたちを脅し、クリミアの次はほかの地域だと叫ぶ人々を信じないでください。私たちはウクライナの分裂を望んではいません。そんなものは私たちには必要ないのです。クリミアについては、これまでもそしてこれからもロシアのものであり、ウクライナのものであり、クリミア・タタールのものです。


繰り返しますが、これまで何世紀にもわたってそうであったように、クリミアはこれからもそこに暮らすすべての民族にとっての故郷です。決してバンデーラ主義者のものにはなりません!

クリミアは私たちの共通の財産であり、地域安定の重要なファクターです。このような戦略的領土は強く安定した主権の下にあるべきで、それは実際、今日においてはロシアの主権下でしかあり得ません。親愛なる友人たち(ウクライナとロシアに言っているのです)、そうでなければ、私たち―ロシア人とウクライナ人―は、歴史的に見て近い将来、クリミアを完全に失うことになるかもしれません。この言葉をどうかよく考えてみてください。

キエフではすでにウクライナが近くNATOに加盟するという声明が出ています。この展望がクリミアとセバストポリ市にとって何を意味するでしょうか?ロシア軍の栄光の町にNATOの艦隊が現れるようなことになれば、ロシア南部全域にとっての脅威となるでしょう。この脅威は幻でも何でもなく、きわめて身に迫る脅威です。

実際に起こったかもしれないことはすべて、クリミア住民の選択がなければ本当にすべて実際に起こったかもしれません。クリミア住民に感謝しています。
ちなみに言えば、私たちはNATOとの協力に反対しているわけではありません。全く反対ではありません。私たちが反対しているのは、軍事同盟が、様々な内部プロセスはあってもNATOは軍事組織ですから、その軍事組織がうちの柵の近くで、我が家の近所で、私たちの歴史的領土の中で我がもの顔をしていることに反対しているのです。たとえば、私たちがセバストポリに行ってNATOの海軍兵士に客人として迎えられるなど、私には想像もできません。彼らの多くはすばらしい青年たちです。しかし、セバストポリでは私たちが彼らを客人として迎える方がよいのです。

率直に言いましょう。私たちは今ウクライナで起こっているすべてのことに、人々が苦しんでいることに、彼らが今日をどのように生き、明日はどうなるのか分からないでいることに心を痛めています。私たちが心配するのもよく分かります。何しろ私たちは単なる隣人ではなく、私が何度も言っているとおり、事実上、ひとつの民族なのです。キエフはロシアの町にとっては母なる都市です。古代ルーシは私たちの共通の起源であり、私たちはいずれにせよお互いがいなければやっていけないのです。

もうひとつ言いましょう。ウクライナには今も、そしてこれからも数百万人のロシア人、ロシア語話者である国民が暮らしていきます。そして、ロシアは常に政治的、外交的、法的手段を使って彼らの利益を保護していきます。しかし、まずは当のウクライナがこういった人々の権利と利益が保証されるよう関心を払わなければなりません。それがウクライナの国家としての安定と領土の一体性の基礎となるのです。

私たちはウクライナとの友好を望んでいます。ウクライナが強く、主権を持った、自立した国家になることを願っています。私たちにとってウクライナは主要なパートナーのひとつなのです。私たちには多くの共同プロジェクトがあり、何があったとしても、これらのプロジェクトの成功を私は信じています。そして何よりも、私たちはウクライナの地に平和と融和が訪れることを願っています。そのためには他国とともに最大限の協力と支援をする用意があります。しかしもう一度繰り返します。自分の家に秩序をもたらすことができるのは他でもないウクライナ国民だけなのです。

尊敬するクリミアとセバストポリ市の住民の皆さん!ロシア全土があなたたちの大胆さと威厳と勇気に感動しました。あなたたちがクリミアの運命を決めたのです。この数日間、私たちはこれまでにないほど身近になり、お互いを支え合いました。あれは真の連帯の気持ちでした。あのような決定的な歴史的瞬間にこそ、民族の成熟度と精神力が試されるのです。ロシア国民はすばらしい成熟度とすばらしい力を発揮し、団結して同胞を支えました。

ロシアの外交における強気は数百万人の人々の意思、民族全体の団結、主要な政治・社会勢力からの支持に立脚していました。皆さんのその愛国心に感謝します。例外なくすべての人に感謝します。しかし、ロシアの前に立ちはだかる課題を解決するため、今後もこの団結力を維持することが私たちには重要です。

私たちは明らかに外国の反発に遭遇することになります。しかし、私たちは自分のために決めなくてはなりません。首尾一貫して国益を守り続ける用意があるのか、それとも、永遠に国益を諦め続け、どこまでも後ろに下がり続けるのか。

西側の政治家の中には、制裁だけではなく、国内問題の先鋭化の可能性を語って私たちを怖がらせている人もいます。彼らが何のことを言っているのか知りたいものです。第5列員なるもの―様々な国家反逆者―の活動のことでしょうか、あるいはロシアの社会経済情勢を悪化させることで人々の不満を誘発することができると考えているのでしょうか。このような発言は無責任で明らかに攻撃的なものであると見なし、しかるべき方法で対処していきます。しかし、私たち自身は東側でも西側でも、決してパートナーとの対立を目指すことはせず、現代世界の決まり通り、先進的な善隣関係を築くために全力を尽くしていきます。


尊敬する同僚たち!
住民投票で、クリミアはウクライナに残るのか、ロシアに入るのかという、きわめて率直ではっきりした質問を設定したクリミア住民の気持ちがよく分かります。そして、確信を持って言うことができます。クリミアとセバストポリの指導部や立法機関の議員は住民投票の質問を作るにあたって、派閥や政治的利益を超越し、人々の根源的利益だけを指針として、それだけを最重要視したのです。これ以外の住民投票であったなら、それが一見したところいかに魅力的に映ったとしても、この領土の歴史的、人口構成的、政治的、経済的特性のために中庸で一時的で揺らぎやすいものになっていたでしょうし、間違いなくクリミア情勢のさらなる悪化へつながったでしょうし、最悪の形で人々の生活に反映していたことでしょう。クリミア住民は厳しく、妥協のない、一切の中途半端さのない質問を設定しました。住民投票はオープンに誠実に行われ、クリミアの人々ははっきりと説得力を持って自分の意思を表明しました。彼らはロシアに入ることを望んでいるのです。

ロシアもまた、国内外のファクター全体を考慮して、困難な決定をしなければなりません。今のロシアの人々の意見はどうなのでしょう。ここでは、他のあらゆる民主主義社会と同じように、様々な視点があるでしょう。しかし、絶対的な、―強調しておきますが―、絶対的多数の国民の考え方は、こちらも一目瞭然です。

つい先日ロシアで実施された最新の世論調査をご存じでしょう。95%もの国民が、ロシアはクリミアに住むロシア人とその他の民族の利益を保護すべきであると考えています。95%です!83%以上が、たとえそのような態度が他国との関係を複雑化させるとしても、ロシアはこれを実施すべきだと考えています。国民の86%がクリミアは今に至るまでもロシアの領土であり、ロシアの土地であると確信しています。そして、とても重要な数字で、クリミアの住民投票のものと完全に相関しているのですが、ほぼ92%がクリミアのロシア編入に賛成しています。


このように、クリミア住民の大多数も、ロシア国民の絶対的多数も、クリミア共和国とセバストポリ市のロシア連邦への復帰を支持しています。

残すはロシアの政治的決定です。これは国民の意思に基づくことしかできません。なぜなら、いかなる政権であってもその源となるのは国民だけだからです。

尊敬する上院議員!尊敬する下院議員!ロシア国民とクリミアとセバストポリ市の住民たち!クリミアで行われた住民投票の結果に基づき、国民の意思に立脚して、本日、ロシア連邦議会に、ロシアに2つの新たな連邦構成主体、クリミア共和国とセバストポリ市を受け入れる合憲的な法案を提出し、審議を要請すると共に、クリミア共和国とセバストポリ市のロシア連邦への編入に関する署名の準備が整えた条約の批准を要請します。皆さんの支持を迷わず確信しています!

http://www.kremlin.ru/news/20603

Source:http://www.russia-emb.jp/japanese/embassy/news/2014/03/vv-1.html

調印式の様子(冒頭の動画と同じものですが、調印式の始まる58分20秒から開始します。)


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2014年3月28日金曜日

お金(貨幣・通貨)の基本を動画で分かりやすく解説

私たちが毎日必死に働いて手に入れるもの。
なのにその存在があまりに身近すぎて、その実体をよく知らないもの。


お金(貨幣・通貨)はどのように生まれているのでしょうか。
お金(貨幣・通貨)はなぜ物品やサービスと交換できるのでしょうか。


TVやスマートフォンの動作原理を知らなくても日常困らないように、
お金(貨幣・通貨)の動作原理を知らなくても日常困ることはありません。


しかし、それらが少し動作不良を起こしたときに、その動作原理の基本を知っているかいないかで、
支払う代償が大きく異なってくる場合があると思います。


今まで知りたい気持ちはあっても、何から勉強すれば良いか分からなかった、という方もおられると思います。


そこで、今回はお金(貨幣・通貨)の基本を分かりやすく解説してくれている動画を2本紹介します。



この動画はGold & Silver, Inc.という金や銀のコインを販売する企業が作成したものです。
http://goldsilver.com

ドルの基軸通貨性が怪しくなってきているから、「価値の保存機能(Store of Value)」を持つ貴金属の保有を消費者に促しているわけです。

ドルの価値(信頼)が低下すると、ドルの物品やサービスを購入する能力が低下します。
つまり相対的に物品やサービスのドルでの値段が上昇します。
これはドル主体で資産形成している人にとっては実質的な損失になります。

そこで彼らは消費者に対して貴金属を販売することで、ドル建て資産の損失が生じるリスクを減らす機会を提供します。
その一方で彼らは貴金属の販売手数料を得る、というビジネスモデルです。


一企業のプロモーションビデオとしては内容がかなり充実していたので今回ご紹介しています。
強制的に貴金属の購入を促されたりすることは一切ありませんのでご安心ください。



動画は5シリーズものですが、日本語訳がついたエピソード1と4のみを紹介します。
エピソード2、3、5も見ましたが、最も重要な内容はエピソード1と4で紹介されています。
(だからこそこの2つにだけ日本語訳が付いているのだと思います。)

<閲覧にあたって>
  • それぞれ30分近くあります。
    そのため、比較的時間に余裕がある環境で見ていただくことをお勧めします。
  • また展開が早く、付いていくのが大変かもしれません。
    そのため、何度か繰り返し見ていただくことをお勧めします。

なお、動画中で「貨幣」と「通貨」という言葉が頻繁に登場し、明確に使い分けられています。
英語では「Money=貨幣=価値保全力があるもの」、「Currency(カレンシー)=通貨=価値保全力が弱いもの」と使い分けています。


前置きが長くなりました。

ご覧いただいた皆様がお金(貨幣・通貨)の基本を捉えられるようになり、今世の中で起きている事象(QE、アベノミクスなど)の本質的な意味を理解する助けとなる事を願ってやみません。

Hidden Secret of Money エピソード1


Hidden Secret of Money エピソード4


※PCでご覧になる場合はフルスクリーンモードでご覧ください。